【雑記】急な家賃の値上がり、どうしたらいいの?(供託制度)

 「供託」(きょうたく)という制度について,皆様はどれくらい御存知でしょうか。
 「言葉を聞いたことだけあるよ」という方や「一度も聞いたことないや」という方など,様々だと思います。
 例えば,皆様が一番聞いたことのある供託の種類は「選挙供託」だと思われます。
 選挙に立候補する際に,「供託金」を積まないと選挙に立候補ができません。なぜなら,誰でも立候補が可能だとすると,立候補する権利が乱用される恐れがあるからです。
 今回の記事の中心は「選挙供託」ではありませんが,「供託」制度において,皆様に一番身近なものを題材に書いていきます。

【事例】

大家さん
大家さん

ゆっきーさん,物価の上昇などを考慮して,来月から家賃を「5万円」から「8万円」に変更することにしました。支払いをお願いします。

ゆっきー
ゆっきー

ちょ,ちょっとそれは・・・・💦

せめて「6万円」ではだめですか?

大家さん
大家さん

だめです!!
「8万円」でお願いします!

ゆっきー
ゆっきー

⁉⁉⁉⁉😢😢

 将来,こういった場面に遭遇した場合,あなたが「供託」という知識を持っていたらうまく立ち回れる可能性が高くなります。
 今回の記事について,「供託」制度のほんの一部ではありますが,一緒に勉強していきましょう。

1.「供託」って何?

 「供託」とは,金銭,有価証券等の財産を国家機関である供託所に提出して,その管理を委ね,供託所を通じて,その財産を債権者等特定の相手方に取得させることによって,債務の弁済,裁判上の担保又は営業上の保証等一定の法律上の目的を達しようとする制度です。

 簡単に書くと,債務者(一定の給付義務を負う人)が国の機関(供託所)に金銭などを持参(振込)し,その金銭などを債権者(一定の給付を請求できる権限がある人)が受領することで,債務者が自身の(給付)義務などを免れることをいいます。

あーこ
あーこ

債務者を「マンションの借主であるあなた」,債権者を「大家さん」と仮定すると分かりやすいかもしれないね。

 供託の種類は一般的に,

  • 弁済供託
  • 保証供託
  • 執行供託
  • 没収供託
  • 保管供託

 がありますが,今回は日常生活で知っておくと役に立つ「弁済供託」について簡単に勉強していきましょう。

2.「弁済供託」って何?

 弁済供託とは,債務者(例えばマンションの借主)が金銭など持参(履行の提供)をしても債権者 (例えばマンションの大家さん) が金銭などの受け取りを拒否しているとき,供託所に供託することでその債務を免れることができるというものです(供託原因:受領拒否)(民法494条)。

 弁済供託の供託原因は「受領拒否」以外にもありますが,全てを書くと記事におさまらないので今回は割愛します。

 「弁済供託」の「受領拒否」ですが,例えば,あなたがマンションの賃借人だとして,賃貸人である大家さんから「来月から家賃を3万円上げます!」と突然言われたらどうしますか?

ゆっきー
ゆっきー

もちろん,払えないので大家さんと話し合います!!

 急に家賃を上げると言われても給料がすぐに上がるわけでもないので,すんなり応じることができる方は少ないのではないかと思います。
 大家さんとの家賃交渉がうまくいけばいいのですが,話し合いがまとまらなかった場合,家賃はどうしたらいいのでしょうか。

ゆっきー
ゆっきー

もしかして・・・支払わなくてよかったりするのかな?(^^)

あーこ
あーこ

そんなわけないでしょ笑

 家賃という債務(給付義務)が発生している以上,契約書などで決められた日付までに大家さんに家賃を支払わないと債務不履行となり,支払いが遅れた分の損害金(遅延損害金)を支払う必要が出てきます。

ゆっきー
ゆっきー

遅延損害金⁉名前からして怖いんだけど・・・

でも,家賃の金額が決まっていないし,大家さんに元々の家賃を支払いますと伝えても受け取ってくれないと思うよ。

あーこ
あーこ

そのために,「供託」という制度があるのよ。

 金銭などを大家さんに提供し,その受け取りを大家さんが拒否をした場合,あなたは管轄する供託所に家賃を支払う(供託する)ことで家賃の支払い義務を免れることができるのです。

3.「供託」する金額はいくらなの?

 家賃・地代については,土地又は建物に対して負担する税金の増加,不動産の価格の上昇などにより,周囲の不動産の地代・家賃に比較して家賃が不相当となることがあるはずです。
 その場合,法律上,賃貸人は地代・家賃の増額を請求でき,賃借人の同意は不要です。
  しかし,それは賃貸人が請求した額に増額されるという意味ではなく,客観的に正当な額に増額されるということです。

 増額請求により客観的には正当な額が増額されているものの,増額について大家さんと賃借人との協議が整わない場合,賃借人は裁判が確定するまでは,自らが「相当と認める賃料」を供託すれば債務の履行が遅れることはありません。

 「相当と認める賃料」とは,客観的に適正である賃料(周囲の不動産の地代など)と同じではなく,賃借人が自ら相当と認める賃料をいいます。
 例えば,賃借人が増額前の賃料を「相当と認める賃料」だと考え,増額前の賃料を賃貸人に提供したとしても,受領を拒否された場合は供託ができます。

4.「相当と認める賃料」の注意点

 ただし,元々の賃料を下回る賃料を提供し,受領を拒否されたとしてもそれは「相当と認める賃料」に当たらないため,供託はできません
 例えば,家賃5万円の住居の場合,賃借人自身「相当と認める賃料」は4万円だと考え,4万円を供託することはできないの注意を要します。

5.まとめ

 賃貸人と賃借人間で家賃の額が定まらず,賃借人が賃貸人に対し自らが「相当と認める賃料」を提供し,受領を拒否された場合,賃借人はその賃料を所定の供託所に「供託」することができます。
 そして,「供託」することで賃借人の支払い義務が消滅します。

 今回は「供託」の「弁済供託」の一部を勉強しました。「弁済供託」とは頻繁に遭遇するものではありませんし,むしろ遭遇したくないものです。
 今回の記事は皆様に「供託」制度の「受領拒否」を理解していただきやすいよう簡潔に書いており,「供託」の可否に関する論点は他にもいくつかございます。
 もしこのような事例に遭遇した場合は,一度皆様自身で調べていただく方がよいかもしれません。
 この記事が少しでも皆様の役に立てたら幸いです。

ゆっきー
ゆっきー

「供託」の「弁済供託」の制度は何となく分かった!

もう一度大家さんと交渉して,それでも話合いがまとまらなかったら供託も考えてみる!

あーこ
あーこ

そうね。頑張って!

コメント

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